KANZOに聴け

内村鑑三翁が生きていたら何を考え何を語るのだろう…

偽りに偽りを積み重ねた果てに‥

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20年8月下旬アベ首相が退陣を示唆する記者会見を行った。在任7年8か月は歴代内閣でも最長不倒距離らしい。ご本人は歴史に残る記録と自慢げだったが”別に‥それがどうした”との感を持つ人も極めて多いだろう。この国の内閣総理大臣を何年やったということより「国の国民市民のために何を為したのか」を重要視すれば当然のことだ。

統計偽装を背景とした意味不明趣旨不明の「アベノミクス」なるものの7年8か月の「失政の記録」がある(東京新聞200831)。これは数字上の政治の失策を示すが、ワタシはそれと同様に無残なアベ内閣官邸と官僚との道徳破壊の実像に目を向けたい。

「もし治める者が偽りの言葉に聞くならば、その役人らはみな悪くなる。」(聖書箴言29章)とある。つまり為政者が嘘をつき続ければ、為政者のもとで働く役人たちはみんな悪人となるというわけだ。紀元前の箴言の時代もこの哲理が働いていたことになる。この聖書の言葉は、治める者の自戒の言葉として聞くべきなのだろう。

アベ政権下での数多の不祥事の中で、いわゆる「森友学園」問題を取り上げてみる。この学校設立に関してはアベ首相自身と夫人とが関与していた事実は、現在では客観的な証拠が揃っている。しかし事件発端当初に嘘つきアベ首相が「自分がこの案件に関与していたら私は首相を辞任する」とタンカを切ったものだから、官邸閣僚官僚は財務省サガワ理財局長を筆頭に証拠隠滅に全力を注ぎ始めた。首相の嘘一つでキャリア官僚以下卓袱台をひっくり返した如くに狂乱し組織ぐるみで狂奔した。”すさまじきものは宮仕え”である。国会で野党がこれでもかこれでもかと叩き続けても、財務相のアソウは、それもこれも現場の役人がしでかしたことですので私は不承知で、役人たちには今後改めさせるよう指示しました、全く困ったものです‥証拠がありませんからとの捨て台詞を残して遁走しようとし続けた。

こうした流れの中で近畿財務局の職員赤木氏は、本省サガワの指示によってアベ夫人が関与したことを示す記録や財務省の関与を示す記録を全面的に「改ざん」させられた。この改ざんの仕事は彼一人に背負わされた。キャリア官僚は無傷になるようにして遁走した。そして赤木氏はその罪の深さに心を病み自死した。この赤木氏の死は、監察医上野正彦氏によれば、周囲の関係した者たちが一人の人間を追い込み死に至らせた《殺人》である。一人の職員の自死があっても、アベ首相以下、政権中枢のアソウ財務相はじめ関係した財務省官僚は”果てしなく””坂道を転げ落ちるように”歯止めのない「嘘」をつき続けた。この頃「息をすれば嘘」の言葉が新聞紙面を踊っていた。

「疲れて悔い改めるいとまもなく、しえたげに、しえたげを積み重ね、偽りに偽りを積み重ね」(聖書エレミヤ書9) この頃のアベ首相、スガ官房長官、アソウ財務相、そして官僚たちの日常であった。赤木さんの死はその果てに在った。

今日日近畿財務局の誠実で正直な赤木さんを死に追いやったのは、「私は関与していたら辞任する」発言を繰り返したアベ首相や官房長官スガ、財務相アソウ、取り巻きの官僚たちであることを疑う者は一人もいないだろう。赤木夫人の真相解明を訴える訴訟は極めて尊いものである。だが赤木夫人の身辺は危険に晒されてはいないだろうか。斯様な政権だけに気にかかって仕方がない昨今だ。