KANZOに聴け

内村鑑三翁が生きていたら何を考え何を語るのだろう…

認知症は初体験のことばかり‥

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「日本の認知症患者の割合(有病率)はOECD(経済協力開発機構)加盟35か国の中で最も高く、日本の人口に対する認知症有病率は2.33%で、OECD平均(1.48%)を大きく上回り最も高かった。2位はイタリアの2.25%、3位はドイツの2.02%。日本の有病率は20年後にはさらに上昇し、3.8%に達すると推定されている。」との最近の報告を読んだ。まあ驚くこともなかった。

一方患者数の予測で言えば、2012年で460万人だったものが、2025年には700万人と予測していて、これは65歳以上高齢者の5人に一人ということになる(但し異論あり。この数字は医療機関受診患者数であって潜在的患者及び認知症患者予備軍を数えたらこの2倍と言われている)。驚くべき数字で一体このままいけばどうなってしまうのだろう。認知症に決定的に効果を示す薬物の開発は今のところかなり困難らしいのだ。もっとも認知症治療薬が仮に開発されたとしても、歴史上かつてない図抜けた高齢社会の多岐にわたる問題群は残る。

『精神保健学 序説』(篠崎英夫、へるす出版、2017)の中で、日本政府のWHO執行理事でもあった著者は、2012年にWHO(世界保健機関)から出版された刊行物に触れている(日本語版『認知症;公衆衛生対策上の優先課題』、公衆衛生協会、2015)。篠崎氏は、この報告書に触れて、認知症対策を”独立した”施策・計画として策定するか、複数の保健・メンタルヘルス・高齢社会の政策や計画として”統合”すべきであると記している(p.153)。国の政策立案に際してかなり大胆な発想転換を促していると言える。

またWHOはこの本の中で、認知症を自然な老化現象ではなく「さまざまな脳の障害が原因となって生じる慢性または進行性の症候群で、記憶・思考・行動・日常生活に影響が及ぶ疾患」としている。そして認知症に関する行動指針として「認知症に優しい社会を促す・認知症を公衆衛生及び社会的ケアの優先課題とする・一般社会及び専門家の認知症に対する態度や理解を改善する・保健社会システムに資金提供して介護やサービスを改善する」といった点を強調している。

とりわけワタシたち自身及び専門家の態度や理解を促す、といった点は身につまされる。ワタシ自身も間違いなく認知症予備軍…と自覚しているので、他人事ではない、みなさん同様ですぞ! 認知症患者に優しい社会‥の実現とは——それを理念なき行き当たりばったりの日本の政治屋たちに任せていてはダメなことは明々白々。