KANZOに聴け

内村鑑三翁が生きていたら何を考え何を語るのだろう…

良心の呵責を感じませんか、あなた!

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2018年の悲惨のハイライト・モリカケ問題の報道を連日見ていて、アベアソウスガや官僚たちの明々白々の「ウソ」で嫌気がさしたことを記憶している。当時の新聞TVの報道記者も野党の面々も同じ気持に落ち込んでいたのではないか。この事象は、それもこれもアベ首相の「ウソ」が発端となり、そのウソをアベ首相が認めないので、周囲の全ての者が彼を慮って何もかもを巻き込んでウソの上塗りが始まったというのが、今日までの評価である。「忖度」という妙な言葉が流行した。「もし治める者が偽りの言葉に聞くならば、その役人らはみな悪くなる。」(聖書箴言第29章)そのままを地で行っているなとワタシは連日感じていた。

どこかで読んだ本の中で、アベ首相の幼少時の家政婦の人(?)がアベ君は小さいときから「ウソをつくのが上手だった」と語っていた。いわゆるモリカケ問題の国会での彼のウソが、彼自身やアベ嫁に止まらずに官僚やら外部関係者を巻き込んでいったところに悲劇がある。あげくの果てに官僚に自殺者まで出たではないか。アベのウソがなかりせば近畿財務局のこの職員の自死はなかったのだ。アベアソウスガはこの件に関しても因果関係はないと言い続けた。

パイ生地のように折りたたまれてウソの塊が膨れていく様を見ていて、ワタシはこんな輩が日本の政治のトップに鎮座し続けるなら、日本を脱出しようとまで考えた。そしてEUのとある国に行く計画まで立てた。EU諸国も様々に問題を抱えているとは言え、政治及び政治家は少なくとも日本よりは成熟の度合いを深めている。これらの国々は互いに国境を接しながら大国の横暴、領土争い、宗教対立といった患難に遭遇し忍苦し鍛錬され希望を生き抜いてきた国々だ。ここでワタシのこれからの人生を過ごす方がよほど精神保健上も好ましいと考えたものだ。この脱出計画は今でも捨てていない。

ワタシは今年6月の党首討論のやりとりを全文読んだ。アベ首相は正面から野党党首の質問に答える意欲と能力と誠意が皆無であることがわかる。エ~ア~ウ~……が多く、失言間違い錯誤を避けて明らかにこの数時間をしのいで逃げたいとの意思が丸見えだ。同じ所をグルグルと回っている。核心に触れる言葉は皆無だ。ワタシは何度も吹き出してしまった。稚拙そのものである。これが一国の首相とは!誰が斯様な人間を行政府の長として選んでしまったのだろうか。

そこで昨年(2018年)の国会党首討論岡田克也を思い起こした。いつもの通りのグズグズの何を言っているのか論旨不明の答弁をするアベ首相に対して、岡田は「良心の呵責、感じませんか。あなた! そのことだけ申し上げておきたい!」と啖呵(たんか)を切って討論を打ち切ったのだった。「良心の呵責」これである。アベ首相はこわばったようなやり場のない顔つきで目は泳いでいた。岡田の「良心の呵責」発言はワタシの胸に響いた。久しぶりに痛快な清新な言葉を聞いたからである。

岡田はかつて同僚に「アベ首相だけは話をするのも嫌だ」と漏らしていたという。おそらく近しい者がすぐわかるアベ首相の廃れた人間性、例えばとっさのウソ、論旨不明の言動、生活困難の中にいる人や社会的障壁と闘っている人たちへの無関心、障がいをもって生活している人間に対する冷酷さ、無知による傲慢、知性の欠如‥‥そういった彼の人間性に嫌気がさしていたのだろう。嫌悪していたから党首討論も不承不承だったのではないか。何を言ってもアベ首相は不誠実で「心が亡い」から、答えがまともに返されることはないことを承知しているからだ。そしてこの日もその通りになった。だからこの日の啖呵となったのだ。岡田も豪胆である。というよりもごく当たり前の発言だったと思う。それにしても誰がアベ君を首相にしてしまったのだろうか‥。

ウソには良いウソというものもあるだろう。それは人を想ってのウソである。ところがアベアソウそしてスガのウソは「質が悪い」。言い方を変えれば、手前たちの身分保存のためにはあらゆる手段・あらゆる場で、「国民」の前で、報道記者の前で、自死した者が出ようがなりふり構わずウソをつき続ける。スガという官房長官もなかなかのものだ。政権政党・政敵・野党・タレントを問わず公安・警察・内閣府・広告代理店らに手を回し、その人間を毀損する裏情報を集め、恫喝の材料としている。取材記者とのやり取りの中でも、スガの対応がきわめて「陰湿横暴」であることがわかる。相当の悪玉だ。この官房長官はウソの塊りが見え見えなので、彼の記者会見のTVニュースだけは見ないという者がワタシの周囲では多い。

人はなぜ「ウソ」をつくのだろうか。最近興味深い資料を読んだ(AFP BBNEWS記事161025)。この記事は英科学誌Nature Neuroscienceに掲載された実験に基づいた論文を再構成したものだ。その要点はこうだ。

「人間は、ウソを重ねるとともに脳に表れる感情的な反応が徐々に弱くなる。つまり不正直な行動が繰り返されると、その程度が増大することが実験で示された。不正直な行為を思いとどまらせる社会規範や道徳があるにもかかわらず、人々がたわいのないウソから大ぼらを吹くようになるまでの仕組みが明らかにされた。人を欺いたことのある人は、その不正直な行為が雪だるま式に増大することを知っている。だが今回の研究からは避けられない結論が一つ導き出される──それは、ウソを多くつくほど、ウソは上達する。」アベアソウそしてスガの顔が鮮明に浮かんだ。

そう、軍産国家アメリカのトランプもウソの名手。アメリカ報道機関のファクトチェックによれば、トランプの大統領選挙中及びその後のツイッターでの発言は「その大半がウソ」という評価だから恐ろしい。日本でも報道機関でのファクトチェックが始まっているが、動きは遅い。報道機関は独立した組織でこれを行うべきだ。そうすれば官房長官が手を回すことも難しくなるだろう。だが問題の核心は「社会規範や道徳が存在するにもかかわらず」保身と真実と事実隠蔽のためにウソをつき続ける「政治家」であることは言うまでもない。