KANZOに聴け

内村鑑三翁が生きていたら何を考え何を語るのだろう…

イランに何をしに行った?

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鑑三翁は政治家ではなかったのだが(実は鑑三翁の見識と雄弁のゆえ政治家への誘いは頻繁にあったが彼は一笑に付していた)、国家間の「外交」とは国家間の利害に関わる厳しい戦いであり、国と国との間に横たわる宿痾とも言える現実を認識していた。今日日、アベ首相が何もかも目前の「選挙対策」として、語るのも恥ずかしい「外交らしきもの・おもてなし外交」をヌケヌケとやっていることにワタシは絶望感を抱いてる。「誠心誠意をもって誠実に」「やってます・やってます」の口先だけの無為無策の空砲と空手形、あれも・これも・それも・何の成果もなく、この国の利益を毀損して、道徳的にも頽廃の相を示している政治(家)とは何なのか。またこんな輩に騙され・諂(へつら)う日本のマスコミ及び日本人も同罪――とワタシは書いた(19年6月10日)。

そして無自覚な懲りないアベ首相は、胡乱な「世論調査」が高い支持率を維持していることを受けて舞い上がったままイランに行った。トランプには「私が仲介をすればイランとアメリカとの間の齟齬は何とかなりますよ」とか何とか言い、トランプも「そうかね、君に頼むしかないね」。そしてエヌエッチケイのイワタという女性記者や、アベ首相友だちのキョウドウツウシンのタサキとかいう御用記者たちの発言にとどまらず、マスコミこぞっての不気味な礼賛記事がアベ首相のイラン訪問時には続いた。タサキという記者はアベ首相が何かの外交カードを持って出かけるぜ、としたり顔でTVで話していたらしい。フェイクはこのようにして捏造されていく。もはや犯罪と同類である。

そして悲惨な結果がアベ首相を待っていた。アベ首相がイランのハメネイKhamenei師との会談中というタイミングで、日本国籍タンカーがミサイルらしき物に被弾した。日本のメディアは信用ならないから海外の評価を見る。「米紙ウォールストリート・ジャーナルは14日、安倍晋三首相のイラン訪問中に日本のタンカーが攻撃を受けたことに絡み「中東和平における初心者プレーヤーが痛みを伴う教訓を得た」との見出しで報じた。タンカー攻撃で緊張が高まる中東情勢を踏まえ「日本の指導者による41年ぶりの訪問を終え、米国とイランの対立関係は以前より不安定になった」と論評。安倍氏は、イランの最高指導者ハメネイ師との会談で「米国がイランとの誠実な対話を望んでいる」と持ちかけた後に、ハメネイ師から非難を受けたとした。」(ワシントン共同、190615)

ハメネイ氏のツイッターを翻訳してくれた人がいる(T.Katsumi氏)。ハメネイ師とアベ首相との会話記録だ。トランプのメッセンジャーアベ首相に対するオトナの百戦練磨の宗教指導者の言として傾聴すべきだ。ノコノコと出かけて行ったアベ首相に「外交」という厳しい現実を突きつけたものだ。このハメネイ師の記録はエヌエッチケイなどは報道しないのだろうな、公平公正の社会公器を謳う公共放送が泣いている!

ハメネイ師とアベ首相との会談の模様の写真を見た。アベ首相が痛烈な屈辱を味わい、自分の無知蒙昧を思い知らされていた最中だ、目が完全に宙を泳いでいる。早く日本に帰りたい…ヤバいなトランプに何と電話しようか…オレは何をしにここまでやって来たんだろうか…この屈辱の事実を公開したら内閣支持率は下がるだろう、まずいな、記者会見のコメントでは嘘で固めるしかないな…彼はそう思案している。アベ首相は格の違うハメネイ師の前では、猛禽の餌食になろうとしている子ネズミのようだ。

ハメネイ師を含めたイランの幹部たちがアベ首相に会うことになった背景には、人的交流を含めた日本のODAの長い歴史が存在したからである。アベ首相よ、このことを忘れるな。だから今回のアベ首相の仕業で、長い間の外交関係で築き上げた日本とイランの友好関係にもヒビが入った可能性さえある。

イギリスBBCはアベ君のイラン訪問は選挙対策、と報じたらしい。笑うしかないのは、アベ首相とハメネイ師の会談直前に、アメリ財務省がイラン関連企業などへの追加制裁を発表したことだ。アベ首相のパフォーマンスは当のトランプからもコケにされていた。